『教育』を読む会 9月例会

日時 2017年9月23日(土)
10:00~12:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
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参加費 無料
テキスト 『教育』2017年9月号
内容

9月号 特集1は、「ひとりからはじめる学校づくり」です。歴史的・事例的にこれまでの学校づくりを検討するとともに、今日の超過密多忙のなか多種多様な仕事をこなしている教師たちが、さまざまな困難の中にありながらも模索する学校づくりの取り組みを報告し、その意義と課題を考え合います。
特集2は、「被災・避難から6年 学校のいま」です。東日本大震災・原発事故から6年が経ち、福島では、この春「帰還困難区域」を除き、避難指示区域を一斉解除。多くの人々が、またも重大な岐路に立たされています。福島の報告を中心にしながら、困難な中にあっても前を向き、希望を求め歩み続ける学校や子どもたち、親や地域の取り組みに学びます。

前回の
様子

8月の第2回例会は、8月号 特集1にある佐藤広美さんの「新自由主義改革と教育的価値-教科研研究活動方針に向けて」を読み合いました。
今回は、日本教育学会の大会と重なったため研究者のみなさんはお休み。参加者は前回に続き少なかったものの楽しく行いました。
佐藤さんの論考は、教科研で現在進められている新たな研究活動方針づくりのたたき台という体裁をとって、今日の教育と子どもを取り巻く状況、それから教科研がこれまでの研究活動のなかで拠って立ってきた基本的立場と視点の解明、さらに現在の教育学界における戦後教育学批判を踏まえ、教科研の到達点と方針を考える上での立ち位置(土台)を改めて解き明かそうとするものでした。
話し合いでは、田中孝彦さんを引きながらいう「いまの教育学研究の世界は子どもを理解するという問題に関心が向かわない」というような指摘は、教育研究の世界に限ったことではなく、カリキュラムスタンダードやゼロ・トレランスなどがどんどん入ってきている学校現場にも、同様のことがないだろうか。20年、30年前とはずいぶん子どもとの向き合い方、仕事のあり方が違ってきている。
また勝田守一さんの「教育の思想」について「社会のすべてを『教育の相のもとに』とらえる思想」と述べられているが、「教育の相」という言葉で指し示そうとした具体的内容はどんなことか? 話題となりました。4月号の山﨑隆夫さんの論考で、勝田さんが教育の本質を「教育は、若い生命の成長にかかわる仕事なのである。それは本質的に、子どもと若いもののいのちが幸福にのびていくことをめざしている」「教師が発見し得たものは、人間のいのちの尊さであった」と、指摘されていること。また本論考では佐藤さんが、勝田さんの「教育の思想」を考えるうえで、アジア・太平洋戦争における多くの犠牲者ならびに日本の侵略戦争の反省の重要性を指摘していること。それらを考え合わせると、そこには単純明快な「いのちをあずかり、守り、育む」という子育て・教育の営みが見えてくるのではないか。そして、そのことは、まさに東日本大震災を体験し、瓦礫の中から学校と教育の再生の営みを歩んできた東北の教師たちにとって、単なるスローガンや目標、お題目ではなく、まさにあの体験の中に生きてあった事実とも重なっていると言えるのではないか。このようなやり取りのなかで、震災のあと地域の祭りはしばらくやめようと思っていた大人たちが、子どもたちが祭りを楽しみにしていることから祭りを復活させたというような具体的な話も出ました。子ども理解とともに、もっと子どもという存在、その存在の根源にあるものから教育をとらえなおすことも大切なのかもしれません。