ゼミナールsirube7月例会

日時 2019年7月8日(月)
13:30~16:30
会場 みやぎ教育文化研究センター
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 『人間教育の哲学史』(太田直道 著)、当日配付資料
内容

前回に引き続きルドルフ・シュタイナーの教育思想を取り上げます。興味のある方は、今回からの参加でも大丈夫です。ぜひご参加下さい。お待ちしております。

前回の
様子

6月のSirubeは、シュタイナーの年譜資料とテキストをもとにシュタイナーの教育思想の外堀を眺めたという感じでした。
生い立ちから見えてくるのは、彼の思想形成において鉄道技師の長男として生まれ大学までを終始工科系の畑で生きてきたということ、その一方で幼い時にすでに超感覚的世界を経験したということだ。この彼の生い立ちの中にある物質的な世界と心的・霊的世界の2つの世界をどう把握し考えたらよいのかということが、のちに彼が人智学として確立する思想に少なからず影響を与えていると感じた。
例えば人間存在を身体(Leib)と心魂(Seele)と心霊(Geist)という3つの部分存在の複合体としてとらえ、人間を物質的な存在から宇宙霊のもとにある存在まであらゆるレベルを往還しながら生きていく存在としていることに。あるいは四肢を使った肉体的な活動や労働を重視し、そのことを通じて宇宙とのつながりや霊性を読みとるとする人間観などに。なお、労働や肉体的な活動を重視したという彼の思想に、ドイツ社会民主党の創立者のヴィルヘルム・リープクネヒトとの関係を読み取ることもできるかもしれない。
関連したこととして話し合いのなかでは、彼が人間の身体を頭部、胸部、四肢の三つの基本部分からなるとし、それぞれの働きについての論じ方は機械論的ではないかとの意見も出された。
同時に、彼の思想形成に大きな影響を与えたものとしてゲーテやニーチェ、フィヒテなどの思想との出会いを落としてはならないだろう。

太田先生は、テキストのなかで「彼の神秘主義思想とその教育への適応は現代教育のあらゆる流れとも一致しない」としながらも「人間のもう一つの可能性を示すべく、彗星のごとくあらわれた」と言う。ゆえにシュタイナーは「現代の公教育の絶大な城壁に向って突進するドン・キホーテにも似ており、そのプロメテウス的な精神をまえにして、われわれは人間教育の原点に連れ戻される想いがする」とも述べている。
私たちは、この現代教育に挑むシュタイナーの教育思想をどこまで深く理解することができるか。やっとそのとば口に立ったというところだ。