ヘルバルトは、ルソーの影響を受けつつも「人間を自然にまかせようとしたり、あるいはさらに自然に導いたり、自然にそくしてしようなどと望むことはおろかなことである」と自然主義を批判し、子どもが様々な経験の中から没頭と熟慮によって一つの系統的な知識を「長い細い弱い糸」を紡ぎ出すよう配慮し指導することを説く「教授主義」の立場をとることや、彼の考える分析的教授と総合的教授という教授についての整理は、自身の没頭や熟慮に対応していること、さらにはこのような整理の仕方がカントの超越論的分析論、超越論的弁証論とも関連していることなど、ヘルバルトの「教授」概念を哲学史の中に位置づけながら読み進めました。
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