今年最初の読む会・参加者は、大学研究者2名、現職教師3名、保護者・市民3名の合計8名でした。1月は特集1にある大江未知さんの「教師として生きるために書く」、それから片岡洋子さんの「子どもと教師の応答関係としての教育実践」の2つの論文を読み合いました。
大江さんの論稿は、4,5年生と持ち上がりで担任した時の子どもたちのトラブルを中心に、教師として問題にどう向き合いながら子どもたちの中に新しい関係を生み出す努力をしてきたのかが、丁寧に記されています。
参加者からは、大江さんの子どもたちや保護者に対する丁寧な取り組みと対応に共感の意見が多く語られました。しかし一方で、今の学校現場では教員評価が教師同士を分断・孤立させ、また多忙で多様な業務と様々な保護者対応などが教師を疲弊させています。さらに個々の教師が目の前の子どもたちに主体的に関わりながら判断し対応することより○○スタンダードに従うことを良しとする職場環境の変貌という状況もあります。これらを背景として大江さんのような丁寧な対応が必ずしも職場で好意的には受け止められない状況が生まれつつあることも語られました。
片岡さんの論稿は、今回の特集タイトルでもある「教育実践」という言葉の持つ意味を歴史的に振り返り、教師が目の前の子どもたちのリアルな状況や反応にもとづきながら、彼らの成長と発達に必要な知識や要求にどう応えるかという志向から教育実践が生み出されてきたこと。同時にその営みは、教師が目の前の子どもたちの生きる現実と要求に即してなされるという特質から、そこにはつねに取り組みにおける失敗や過ちが孕まれていること、それゆえに教師は失敗を繰り返しながらも子どもたちの成長と発達に向けて実践を重ねていくという創造性(深い倫理観)がともなうものであることなどが記されています。論稿の後半は、新任教師の丸山もも子さん(仮名)の実践に依拠しながら、教育実践についての考えが具体に語られています。
参加者からは、丸山さんの取り組みとして語られる「体操服を忘れたときの対応」(学校のきまりと子どもの思い)や、友だちとトラブルを起こしたYくんの思いについてクラスの子どもたちと話し合ったときのことなどについて、学校現場での自身の経験を踏まえながら、その多様な対応のあり方や取り組みなどが語られました。
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