ゼミナールsirube 9月例会

日時 2018年9月10日(月)
13:30~16:30
会場 みやぎ教育文化研究センター
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参加費 無料
テキスト 太田直道 著『人間教育の哲学史』
内容

今回からテキストの「第11講 20世紀の教育思想とシュタイナー」に入ります。内容は19世紀後半から20世紀にかけての教育思想の概観から始まって、シュタイナーの教育思想に多くのページを割く構成となっています。
今回は、テキストを中心に前半部を読んでいきますが、その後はそこで取り上げられている主要な教育思想・哲学を随時ピックアップし読み進めていく予定でいます。

前回の
様子

7月の会は、太田先生が独自に作成されたフレーベルの思想に関する引用資料にもとづきながら、彼の考える数学教育や言語教育などを中心に読み進めていきました。フレーベルの述べていることの真意をどれだけ理解しているかは、非常におぼつかなく怪しいですが、彼の書いたものを読みながら《ああだろうか、こうだろうか》と思案し想像しながら読み進めるのは、それが正しいか正しくないかなどということとは別に、とても楽しいです。
例えば、フレーベルは「数学は内なる世界と外なる世界の現れとして、人間および自然に等しく所属している」という。数学は人間が生み出したんだから人間に属しているかもしれないけど、数学は自然にも属しているのか。その心はなんじゃらほい?などと考えたり、「数学は人間と自然とを、内なる世界と外なる世界とを、思惟と知覚とを結びつけるものとして、それらを媒介するものとして、現れるものなのである」いう一文に、人間と自然との赤い糸のようなものを数学に感じ、小難しい数学のイメージが、今までよりもずっと親近感がわいてきたりして楽しいのです。言語については、たしか6月の会の報告でも触れているので、そちらをご覧ください。
なお太田先生が用意してくれた資料のなかで興味を引いたのは、フレーベルの色についての言及でした。彼は、子どもたちが色や色の関係についてわかりたい、認識したいと思っている。そのために絵の具などの材料を扱いたいという要求を持っていると言います。また「色と光は生命の働き、生命の高まりや生命の変化に極めて密接に結びついているのではないか」とも述べています。
たしかに幼少の時を振り返ると、12色や24色の色鉛筆やクレヨン、絵の具を初めて使うことにわくわくしたり、赤や青や黄色の色水をつくって太陽の光が差し込んできらきら光る様をいつまでも飽きずに眺めていたことを思い出します。それが生命の高まりや変化などと結びついているのかはよくわかりませんが、色の変化やきらきら輝くものの中に子どもたちは色以上の生命的なものを実は感じているのかもしれません。フレーベルについて回数を重ねて読んできましたが、こんなにも身近に感じられる存在になるとは思っていませんでした。