東京書籍の小学校教科書について、東京書籍のHPなどの文章も参照しながら、その特徴や内容を具体的に見ていきました。
最大の問題は、教科として成立させる大きな要件である学問的な裏付け、背景がないということではないでしょうか。つまりは教科を支える背骨に当たるものがないのです。
例えば、算数でいえば学年が上がるごとに、その内容は難しくなっていったり、新たな領域が学習領域として入ってきたりします。足し算で言うなら1位数同士の足し算が、次には2位数の足し算へ、あるいは繰り上がりのあるものへなど子どもたちの成長や学年が上がるにつれて、その学問的な体系をも踏まえながら内容や課題は変わって行くものです。ところが、道徳は文科省の学習指導要領で定めた22の内容項目にもとづいて同一の観点と内容が毎年繰り返されるだけです。もちろん教材の文章レベルなどは学年に応じて変わりはしますが、教材内容そのもには発展性がありません。そのためでしょうか、各学年にある「道徳の学習を進めるために」のページは、2年生から6年生まで同一内容で、文章自体も2年生と6年生がほぼ同一の文章となっています。
それから子どもたちが学ぶべき内容項目と教材とが齟齬(誤読誤解)をきたしているものや、内容項目にあわせて新作の教材を作るために牽強付会で、優れた教材とは到底言えそうもないものなど、多くの問題があることが改めて教科書そのものからも見えてきました。
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