ゼミナールsirube 12月例会

日時 2018年12月17日(月)
13:30~16:30
会場 みやぎ教育文化研究センター
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参加費 無料
テキスト 当日配布
内容

前回は、アメリカのエマーソンを取り上げましたが、今回は、そのエマーソンと同時期に生きたイギリスのジョン・スチュアート・ミルの教育思想について、太田先生作成の資料をもとに読み進めていきます。

前回の
様子

エマーソンは、『教育論』のなかで自国アメリカ(ニューイングランド)が世界に先駆けて教育費の無償化を行った国として称えるとともに、教育は国家によって保障され、公費によって初歩的な知識から芸術や科学に関わる研究成果に至るまで教えられるべきであるとした。
これらの背景には、アメリカの教育がヨーロッパ各国からの移民の流入と植民地建設とともに始まったという歴史的経緯が深くかかわっていると言えよう。英国から迫害され逃れてきた清教徒や貧しい人々が新天地を求め、新天地アメリカに自分たちの国をつくる。その国づくりを教育に託したのである。移民による多民族国家として、また決して恵まれているとは言えない貧しい植民者たちの境遇が「自由で平等」な教育と社会建設への向かわせた。
エマーソンは、また知識偏重の教育を批判し、想像力や詩心による精神の涵養を説き、教育の目的は道徳的なものであるとして自己信頼をその基礎に置いた。自己信頼に寄せる彼の揺るがぬ思いは、『エッセーズ第2集』に様々な形で語られ、世間や社会に惑わされたりおもねることなく、自分の心の声に耳を澄ませ、自分を信じて行動することを説いている。
自己信頼に基礎をおき道徳的なるものの育成を教育の目的にするエマーソンにとって、もう一つの重要なキーワードは「自然」である。エマーソンにとって自然は神と一体であり、自然の中に人は神をみる。エマーソンが自己信頼に基礎をおき、自分の心に耳を傾け、自分を信じて行動することを一貫して説くことの根底には、いわば人が自らの(内なる)自然を通じて神と出会い結びつくことを含意していると言えよう。