『教育』を読む会 6月例会

日時 2019年6月29日(土)
10:00~12:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
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参加費 無料
テキスト 『教育』2019年6月号
内容

特集1 学校と地域の新しい関係
特集2 市場化する学校

中表紙の「とびらのことば」によれば、「過疎地自立促進特別措置法の対象となる、人口減少による生産機能・生活環境の整備が困難な過疎自治体は、全国1741自治体の実に47%に達している」という。それら過疎自治体では、自治体を存続させるためのさまざまな取り組みが試みられ、その一つに教育や子育てへの財政的措置や援助支援の取り組みがある。なかでも重要なのは、地域の苦悩のなかでの試行錯誤の取り組みと子どもの学びが結びつき、未来への見通しと希望を育むことだろう。特集1では、このような地域と学校との新たな共同の関係や取り組みを考えます。
特集2では、学校とお金(市場)の問題です。教育や福祉は金儲けにならないというのは過去のことなのかも知れません。特集2担当の南出さんは「大手の教育産業は、受験対策市場だけでなく、近年は教員研修や入試問題作成、生徒のポートフォリオ作成など、さまざまな形で学校内にも入り込んできている。また、小学校英語や大学入試での民間試験導入、制服や教材など各種学用品費の私費負担など『公教育の無償化』を実質において棄損している」と述べています。
今日における学校と教育をめぐる市場化・産業化の実態をもとに、そのあり方を考えます。

前回の
様子

特集1「教育実習出会いと学びあい」を中心に議論をしました。
特集企画全体に対して、教育実習生を送り出す大学教員の視点、教育実習を通して学生にどんな学びや成長を遂げてほしいのかということについて扱いが弱いのではないかという意見が出ました。
論考のなかでは、田中昌称論文(「教育実習へ向かう君たちへ―何を学び、考えるか」)がこの点に言及していますが、全体として教育実習の今日の現状・課題と、教育実習生を受け入れる教育現場の視点からの考察に偏っている印象も感じられるということでした。
岩田康之論文(「国際比較にみる教育実習の日本的構造」)が指摘する、教育現場に対する大学側の「忖度」と教育実習生の「委縮」については、勤務大学の学生に接していても感じるという声もありました。
指導案についても議論になりました。指導案はそもそも個性的なものであるべきだが、1991年の「新しい学力観」に基づく指導要録改訂、指導から支援へという流れのなかで、何を教えたいか、教えるべきかという視点が弱くなってしまった。
さらに今日では、観点別学習項目の細かな記述や規準の記載が求められ、みせるためだけの指導案づくりになり、どういう授業をしたいのかがみえない指導案も散見される。学生自身も失敗したくないという思いから、特定のフォーマットに依拠せざるをえなくなっている現状もあるなどの論点が出ました。
教育実習はこれからスタートですが、学生には若いうちにしかできない子どもたちとの触れ合いとこの時期にしか得られない学びをしてほしいと願います。