第2回も、引き続き作品の表現に注目しながら、その表現からどのようなことが読みとれるか、みえてくるか。参加者それぞれに気になった表現や疑問を率直に出しあい、『ヒロシマのうた』という作品世界を読みひらいていきました。どんなことが話し合いのテーマになったか、一部ですが紹介します。
★リヤカーをひいて逃げていく二人に赤ちゃん(ミーちゃん)をあずける場面で「しばらく、二人ははっとしたように顔を見合わせていましたが」とあるが、二人は何に「はっ」としたのだろう?
★大急ぎでテントに戻った私を兵長は叱り、ひどくぶつ場面で「なぜか、わたしは赤ちゃんのことを話しませんでした」「戦争ということが、こんな悲しいものであることを、そのとき初めて知りました。」とあるが、なぜ赤ちゃんのことを話さなかったのだろう、「こんな悲しいもの」の中身は何か、「そのとき」とはいつか。
★ラジオから聞こえた尋ね人の放送にはっとした私は、必死になってその尋ね人の依頼主を探し出し連絡を取ろうとするが、何がそれほどまでに私を突き動かしたのか。
★ミーちゃんの育ての母からの返事の手紙に「意外なことが書いてありました」とあるが、「意外なこと」って何だろう? 手紙に「赤んぼうを抱いてかけていらっしゃった兵隊さんのことを思うと、だまっていられなくて」とあるが、兵隊さんの何を思うとだまっていられなくなったのだろう?
★夏休みになってミーちゃんの育ての母(橋本さん)と会った場面にある「不思議な気持ち」や、「今日お会いするまでに、決心したのです」「こうしてお話をうかがえたので、決心できたのです」の、決心をさせたものは何か。そして二つの決心の関係は?
|