『教育』を読む会 6月例会

日時 2021年6月26日(土)
10:00~12:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
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参加費 無料
テキスト 『教育』2021年6月号
内容

【6月号】
特集1  外国につながる子ども・若者と教育
特集2  教室・学校の物語を紡ぐ

さまざまな目的・理由で日本に入国し生活する外国籍の人々は年々増加している。また、そういう親もとで暮らす子どもたちの数も同様に増えている。しかし、それらの子どもたちの教育がきちんと保障されているか、その実態は十分把握されていない。「無国籍」状態のまま放置されている子どもたちもいる。偏見や差別的言動にさらされたり、進学や就職で不利な状況に置かれ、不安定で低処遇の若者たちの状況もある。
特集1は、こうした外国ルーツの子どもたちの置かれている実態をもとに教育に何ができるのか、その課題について考えていきます。
特集2は、教師が自らの仕事について、その経験を物語ることの意味や豊かさ、その可能性について二人の教師の物語をもとに考えます。

前回の
様子

『教育』を読む会5月例会は、9名の参加でした。
まず、特集1「コロナと教育と民主主義」から「インタビュー コロナ禍で民主主義の未来を展望する――宇野重規さんに聴く」を読み合いました。そのうえで、学校教育を自己完結させることなく、保護者・地域社会と連携しながら実践をすすめるためにはどうすればよいのか、について議論を進めました。具体的には、説明責任(アカウンタビリティ)に関する教育現場の実態が報告されたのち、応答責任(レスポンシビリティ)として実践をつくりかえていく、という視点が提示されました。熟議することが避けられがちになっている今日、お互いに話を聴き合うプロセスをつくりだしていくことの難しさが浮き彫りとなりました。また、コロナ禍のなかで「人と一緒にいること」の問題、「存在論的安心感」(ギデンズ)を保障するための教育の意義についても考えさせられました。
次に、特集2「教科研の教育学入門Ⅱ」から佐貫浩「教育における民主主義を考える(下)」を読み合いました。議論の中心となったのは、「人間社会の共同性の実現」をいかに実践していくか、ということでした。この点に関しては、コロナ・ウイルスを学ぶ実践づくりの取り組みを事例として、子どもたちの生活経験で身に着けている知識がインターネットやテレビといったメディアに強く規定されていることが話題提起されました。議論を経て、分断や排除の論理を含む子どもたちの語りもまた、「生活」として受けとめる必要があること。そのうえで、よりよい生き方や真実を追求していこう、と鼓舞(エンパワメント)していくことが強く求められていることが分かりました。
「『生活とは何か』と思惟していく、生きつつある姿こそ、そのはたらきこそ『生活』じゃないか」。これは、戦前生活綴方運動の到達点ともいえる「生活教育」座談会(『教育』1938年5月号)における、秋田の綴方教師・佐々木昂の語りです。私はこの一節にとりつかれて、生活綴方の思想について関心を持ち続けてきました。未来社会―それはユートピアなのか、ディストピアなのか?―への適応がもとめられる時代といかに対峙するかについて、これからもまた考え続けていこうと思います。(後藤篤)