ゼミナールsirube9月例会
日時 | 2021年9月27日(月) 13:30~16:00 |
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会場 | みやぎ教育文化研究センター 会場の詳細はこちら |
参加費 | 無料 |
テキスト | 当日、資料配布 |
内容 | 前回に続き、クルプスカヤの教育思想について『児童教育論』や『婦人の解放と教育』などをテキストに読み進めていきます。 新型コロナウイルスの感染防止のため、健康不良の方は参加をお控えください。また参加の際には、手洗いマスク着用など感染防止にご協力ください。 |
前回の 様子 |
クルプスカヤと言って、すぐわかる人は多くないだろう。ロシア革命の指導者レーニンの妻だと言っても、今やレーニンって誰?と言うようなご時世である。 ◆クルプスカヤは、イギリスやドイツなど西洋における教育思想に通じており、ルソーを高く評価し、ペスタロッチの実践教育を自分のモデルとして考えていたともいう。他方で、エレン・ケイについては「集団主義に敵対する小ブルジョア的観点の代表者」とし、子どもを家庭に閉じ込めることは最大の弊害であるとエレン・ケイを批判した。というのもクルプスカヤの教育論の根本は集団主義教育のため、エレン・ケイの家庭教育はいわば孤立主義として映る。 ◆クルプスカヤは、就学前の子どもたちにとって「遊び」は周りを認識する手段であり、「子どもは遊びながら、色、形、物の特質、空間的な関係、数量的な関係、植物や動物を学んでいく」。また遊びは子どもたちの思うとおりにやらせることが大切で、自分で遊びを考え出し、自分たちで目標を立て、決めた目標を実現することを通して、「困難を克服することをおぼえ、周りの環境を認識し、状況からの出口を見つけだします」という。このような教育によって「目標に向かって不屈に突進し、他の人間を自分の側にひきつけ、組織することができる子どもを作ります」とも述べている。 ◆またクルプスカヤは子どもの権利を尊重しなければならないとし、子どもの教育権の第一は、年齢にふさわしい教育を受ける権利だという。それは「それぞれの事物に触れ、その匂いを嗅ぎ、十回それをいじり、何十回もそれを観察し、その名前を十回繰り返す、などの教育を受ける権利」であり、就学前の子どもたちの自分の視野を広げたいという希望には「生きた自然、生きた人間、生きた人間の労働、その相互関係を見せるという方法」で応えなければならないという。つまり、周りの実生活を認識する権利ということ。実生活のなかの実物や現実にじかに触れ、五感をよく働かせて物事を認識することの大切さが指摘されている。 ◆小学校における第一の教育課題は、自然科学の分野や社会生活の分野など身の回りの環境に対する興味関心をよびさますこと。そのために学校と地域住民との、住民と労働との固い結びつきや、授業では、子どもを取り巻く現実に立脚し、子どもの知っている具体的事実から出発することが必要だという。このことは自然科学と労働を前面に押し出すことになるとも述べている。 ◆クルプスカヤは、教育と労働との結合や総合技術教育の必要性について「過去と現在における住民の勤労活動が、学校の勉強の中心」でなければならないと言及し、実習学校のあり方について次のように述べている。 |