企画・講座 ホーム > 企画・講座 > 『教育』を読む会 10月例会 New 『教育』を読む会 10月例会 日時 2022年10月22日(土)10:00~12:00 会場 みやぎ教育文化研究センター 会場の詳細はこちら 参加費 無料 テキスト 『教育』2022年10月号 内容 【10月号】 特集1 STOP!教職員の非正規化 Ⅱ 特集2 高校学習指導要領の始動 特集1は、3月号に続く「[STOP!教職員の非正規化」の第2弾です。今月号では、教職員の専門性とそうした専門性を持った教員が不足してしまう構造的問題と教員の非正規化が合わせて論じられています。 特集2は、今年度から高校の新学習指導要領が実施されるなか、国語、歴史総合、家庭科を軸に、どのように高校の教育課程が再編されようとしているのかを検討し論じています。 前回の様子 9月23日(土)10時~12時に、みやぎ教育文化研究センターで今月2回目の『教育』を読む会を実施しました。 今回は、『教育』2022年9月号の第1特集「幼少期からの性教育と子どもの尊厳」のなかから、浅井春夫論文「公教育に包括的性教育を!」(pp.5-12)を中心に読み、話し合いを行いました。 浅井論文では、ユネスコの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」(以下、「ガイダンス」)の特徴と内容がわかりやすく整理されており、日本の性教育の現状と課題についても考えさせられました。 日本は、世界的スタンダードとなっている「包括的性教育」にまで至らず、「性教育によって(無垢な)寝た子を起こす」ことのないようにしようという「抑圧的性教育」(p.6)の段階にとどまっていること。学習指導要領が、性教育に関係する内容に限定して“はどめ規定”を残しているなど、日本の性教育政策を転換し、包括的性教育を公教育のなかに導入する必要があるという問題提起がなされています。 2023年に本格実施される文科省の「いのちの安全教育」についても、厳しい目で批判的に捉えていくことが課題であることも、関本かおる論文(「絵本を通して学ぶ性・ジェンダー」)の指摘(p.31)をはじめ、この特集全体から捉えることができます。 議論の中では、次のような話が出ました。箇条書き式に紹介します。 ◉浅井論文が紹介する「①純潔強制教育」「②性の恐怖教育」「③抑制的性教育」については定義が明確であるのに対して、④「包括的性教育」については、概要は示されているが、明確にこれだという定義はまだなされていないように思われる。 ◉「ガイダンス」が示す「課題主義」(社会・地域の現実や子ども・若者の性的諸課題を踏まえて、何を学習目標にしていくのかを現場で構想し実践していくスタンス)(p.9)に基づいて性教育を行うことは、日本の学校と教師の現状を考えたときどれくらい可能性があるのか。ともすれば、結果として、「課題主義」を意図した取り組みがここで批判されている「テーマ主義」に陥る危険性もあるのではないか。 ◉「性教育のトレンド」(p.9)のうち、第2に挙げられている「からだの権利」「バウンダリー(境界)」「パーソナルスペース(プライバシー)」「リスペクト(尊敬)」の四位一体の捉え(p.10)について、身体に「さわる」ことを保健体育の教育実践でも大切にしてきたが、この点について今の時点で考えると、どれだけ配慮できていたか。相手の身体的接近をどういう状況で、どれくらい許容できるかには個人差があり、学校の施設・設備面での制約なども含めて、実際にどのようにしていけばよいのか悩ましいことも多いのではないか。人数は少なめでしたが、活発な議論ができました。(文責:本田伊克) 企画・講座の一覧へ戻る