10月22日(土)の午前中に、みやぎ教育文化研究センターで『教育』を読む会を行いました。参加者は5名とやや少なめでしたが、活発な議論となりました。
2022年10月号の特集1「STOP!教職員の非正規化Ⅱ」から、佐久間亜紀論文「なぜ非正規教員が不足するのか」をまずは読み合いました。
佐久間論文は、教員不足には4段階あることを指摘しており、全国の学校現場で起こっていることを俯瞰的に捉えるうえで大切な視点であると思います。まずは、正規雇用教員が不足し、次に臨時的任用教員が不足し、さらには常勤講師の替わりをする非常勤講師(「常勤的非常勤講師」)が不足し、最後に校内でやりくりしてもなお授業に穴が空くということです。
そして、非正規雇用教員に依存していることによる悪循環を断ち切り、正規教員の安定的な確保こそが求められているのだという佐久間論文にも、この特集全体に貫かれている主張にも賛同しながら読み合いました。
紙面の制約もあったとは思うのですが、どちらも臨時的任用教員ではありますが、常勤講師と非常勤講師、「常勤的非常勤講師」のそれぞれで労働条件や勤務形態がどう違うのかがもう少し詳しく述べられていると、それぞれの地域・学校における教員不足問題をよりリアルに考えられると思いました。また、2004年の義務教育費国庫負担制度への総額裁量制導入については、地方自治体の裁量が増した側面もあり、教育財源の確保そのものの問題と、国による予算使途のコントロールの問題とは腑分けして考えるべきではないかという意見もありました。
小宮幸夫論文(「非正規の雇用マッチング組織の問題性」)で指摘されている事実については知らなかったことも多く、勉強になりました。
東京都では、大学での教員養成ではダメだとして、「教師養成塾」で各大学から推薦された学生を独自に養成していますが、そうして要請された教員が辞めていっています。
この点についての反省や改善を十分に図ることなく、「東京学校支援機構」で非正規教職員のマッチングを行い、教員不足に対する場当たり的な穴埋めを進めていることが小宮論文からわかります。さらに、文部科学省の初等中等局財務課が東京都の試みに追随し、学校の求人情報を企業に提供し、教職員の委託化を積極的に推進していることも驚き、呆れます。
また、原北祥悟さん(「教員の非正規化と専門性」)は、「労働条件としての『正規』こそ『望ましい』もので、非正規は『望ましくない』ものだという価値」(32頁)が潜在していることを批判し、教職の役割や専門(職)性を再考する教育学の問題(37-38頁)を提起しています。とても大切な問題を指摘していると直感はしましたが、教職員の労働条件・勤務形態に関わるいかなる価値を、教職員の専門(職)性とどのように関連付けて問うことを求めているのかがもう少し明確に伝わるとよいかなと思いました。(文責:本田伊克)
|