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『教育』を読む会6月例会

日時 2023年6月24日(土)
10:00~12:00
会場 みやぎ教育文化研究センター
会場の詳細はこちら
参加費 無料
テキスト 『教育』2023年6月号
内容

【6月号】
特集1  どうする日本のインクルーシブ教育
特集2  子どもの権利としての遊びと越境

【特集1】について
昨年(2022年)9月の国連障害者権利条約委員会の日本に対する包括的見解(「勧告」)は、関係する各方面に衝撃を与えた一方で、世間一般には、比較的穏やかに受け止められた。
しかし、こうした受け止めでよいのだろうか。勧告は、「特別支援教育は中止」することを求めるものである。
そもそも、権利条約第24条第1項(教育の目的)が、提示しているのは、特別のニーズがある子どもたちの本当の意味でのwell-beingと、その子どもなりの最大限の発達と能力の開花を願う当事者の声である。
だが、日本の「特別支援教育」の現状はどうだろうか。特別支援教育を単なる少人数指導と混同した上で、通常学級と区別する考え方から脱することができているだろうか。特別なニーズがある子どもたちが現在の日本の学校でどれほど傷つき、困難を経験してきたか。私たちはこの現実をどれだけ受けとめることができているだろうか。
特別の支援教育を求めるのは、子どもの現実的ニーズがあり、その子どもの発達のニーズに応じて支援してこそ意味がある。
本特集は、国際的状況を踏まえつつ、日本のインクルーシブ教育の現状について「立ち止まって」考えてみようとする試みである。

【特集2】について
日本の子ども達から三間—時間、空間、仲間—が失われ、子どもが遊ばなくなった/遊べなくなったといわれて久しい。国際的には、子どもの休息、余暇の権利と遊び、レクリエーション活動に参加する権利などが、子どもの権利条約(1989年)の第31条で確認された。日本は遅れて批准をしたが(1994年)、国連子どもの権利委員会から6年ごとに3度も、「高度に競争主義的な環境」にあると指摘され続けており、「遊び」が資質・能力開発の手段にされている例も目立つ。
そこで本特集では、遊びの意義を、三間の視野を最大限に広げて捉え直してみたい。子どもの権利条約が示す遊びとは、大人が子どもに意図してやらせるものではなかろう。むしろ提案したいのは、”越境”をキーコンセプトとし、子ども同士の境、大人との境、さらには周囲にあるモノとの境を超えられるほど、自由でわくわくする遊びである。”分断”が言われる現在にあって、遊びの楽しさが世代をつなぎ、地域・社会、そして学校を揺さぶって、つながりを生み続ける活動へと展開していけないか。子どもの権利条約第31条にそのきっかけを読み取ることで、多彩な人がこれぞ遊びといえる活動を創り合い、楽しいからこそ他の場や時間、仲間にも広げていきたくなる、そんな可能性を探りたい。

(2023.6月号 特集「とびらの言葉」から)

 

前回の
様子

5月の例会では、特集1「教師=専門職の誇りのありか」から筒井潤子さんの『「教師」は何をする人か』を、特集2「学校を運営するのはだれか?」から山沢智樹さんの「学校を”管理”するということ」を輪読し、参加者全員で意見交流をしました。以下は、例会に久しぶりに参加いただいた宮澤さんからの感想です。

1)筒井潤子先生「『教師』は何をする人か」
人間を人間として育てること、そしてそれに寄り添う教師の専門性とはなんなのかといった論文の内容について、意見交流しました。
そもそも行政の考える人間(指示に従う、言われた通りに行動する)が、実際に存在している人間と程遠くなってしまっていることに注目が集まりました。文科省が行なった、発達障害の可能性を調査する際の質問項目には、本当にこんな人間いるのかと思うような質問項目もあり、捉えようによっては行政が差別を生み出す危険性さえあるのではないかと思いました。
また、教師が教室にいるだけで、そこが安心した空間になるのだという文脈も、非常に共感できるところでした。保育園にいる乳幼児たちも同じことが言えると思います。(ここでもやはり、教師にゆとりがあり、1学級の人数が少ないことが欠かせませんが。)
教師が子どもに寄り添う時には、子どもは生まれた瞬間から社会的な動物であると見るのか、子どもは生まれた時はわがままで、だんだん社会性を身につけて大人になっていくのだと捉えるのか。私は前者の考えに立つ者ですが、「子ども理解」といった時の分かれ目はここにあるのかなと思いました。

2)山沢智樹先生「学校を”管理”するということ」
学校管理の自治的な側面の重要性について語られ、そこへの行政あるいは住民のある種の”理解”の必要性を指摘された部分は、個人的にハッとさせられるところがありました。管理というと、やはり「上から拘束する」というイメージが強いことを思い知らされます。
特に皆さんとの意見交流では、学校管理と学校づくりの関係性をどのように整理したら良いのかについて主に話し合いました。
その地域やその地域の人たちでしかできない実践を積み重ねていくことが学校づくりの話になり、もう少し大きく、共同体として学校をとらえ、校内研究等ができるようにするといったことであれば、条件整備の話になるのではないかといった意見もありました。
最終的には、これはぜひご本人にもお話をうかがいたいですね、という話に落ち着きました。笑 (宮澤孝子)