【12月号】
特集1 青年期の教育困難とインクルーシブ教育
特集2 授業料無償化時代の公私立高校
【特集1】2007年の文科省通知によると、特別支援教育とは「発達障害も含めて、特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において実施されるもの」と記されている。「全ての学校」には高等学校も含まれる。しかしながら、高等学校はごく一部に通級指導教室の設置がされてはいるが、十分ではない。かつ、教育困難校や定時制通信制単位制の学校には、義務教育校以上に、特別支援教育対象の生徒がいる可能性が高い。さらには、大学においても困難を抱える若者がいることが予想される。特集1では、青年期の実践に光を当て、高校・大学を含むインクルーシブ教育の可能性とあり方を再考したい。
【特集2】戦後新制高校は、公私立とも授業料を徴収の形でスタートしたが、2010年の高校無償化法、20年の高校就学支援金制度改正で所得制限付きの無償ではあるが、授業料無償化体制へ移行した。しかし、無償化後も公私立とも「隠れ教育費」として教科書・教材・修学旅行・通学・部活にかかる費用などが残り、私立の数万~数十万円の施設設備費の負担は残されたままとなった。一方、無償化は、学校財政への公費投入で、財政面では公私の差が縮まり、「公立とは、私立とは」そもそも論から改めて論じる時となった。
高校教育とは何か、無償の意味は何か、公私立の役割は何か、市民間の議論を始めたい。
(各特集「表紙のことば」をもとに作成)
|