日本学術会議第25期会員任命に関する声明

2020.11.12 (木)
 

今般、内閣総理大臣は、日本学術会議が第25期新規会員候補として推薦した105名のうち6名について任命しませんでした。この件に関し、すでに多くの学会、学術組織、大学機関、文化団体等から批判の緊急声明が出されています。
みやぎ教育文化研究センターは、宮城の地における教育文化、とりわけ子どもたちの健やかな成長・発達を支援する研究活動を担っており、当運営委員会も今回の内閣総理大臣の判断・行為は看過することができないと考えました。
「日本学術会議法」は、その前文で「科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する」ことを使命として掲げています。
今回の事態は、日本国憲法第23条に保障される「学問の自由」及び21条に保障される「言論の自由」を侵害するものです。また、同時に「学術会議法」にも反していることは各学界からも指摘されている通りであり、これらは「民主主義」の根幹を蹂躙するものと言わなければなりません。
今回の事態を認めることになれば、学術会議だけでなく、大学を含むあらゆる学術機関への政治的介入を広げ、忖度や物言えぬ研究・教育機関や研究者を生み出すことに繋がりかねません。それだけではなく、さまざまな文化・教育活動等の制約や自由にも影響してくることがさらに懸念されます。
当センターは、1994年の設立趣旨において、「子どもたちの健やかな成長と個性豊かな発達」「日本国憲法・教育基本法の理念の実現」「教育の再生」「研究の自由と公開の原則」を謳っています。すでに2006年には、教育基本法が改悪され、教育の自由に大きな影響が出てきています。
今回の事態は、学問の自由ばかりか教育・研究の自由をも一層制約しかねないと考えます。研究活動の成果は社会の発展に寄与するべきものであり、その制約はすなわち社会的損失であります。
以上のことから、当研究センター運営委員会は、内閣総理大臣が6名の候補を任命しなかった今回の行為を遺憾とし、下記2項の実行を内閣総理大臣に強く求めます。

1. 日本学術会議が去る8月31日付で推薦した会員候補者のうち、任命されていない6名について、任命を拒否した理由を明らかにすること。
2.上記6名の任命拒否を撤回し、すみやかに任命すること。

2020年11月12日
みやぎ教育文化研究センター運営委員会