センターつうしん No.105
前号(104号)で、GIGAスクールの政策的背景と課題について児美川孝一郎さんの講演を取り上げましたが、引き続きGIGAスクール問題を取り上げました。今号(105号)では、センター研究部主催で、県内5地域から1名ずつの現職教員に集まっていただき、各学校の現状について話をお聞きしました。その内容を掲載しました。
コロナ禍を背景に前倒しされ子どもたち一人ひとりに配布されたタブレット端末によるデジタル教育の推進。準備不足の中で学校や教職員が戸惑いながらも、子どもたちと過ごしてきた半年間の取り組みとその過程で見えてきた課題が語られています。「GIGAスクール」の問題を、読者のみなさんと交流し考え合う機会にしていきたいと思います。
小野寺さんの「授業への招待」と石垣さんの「子どもと学校」は、どちらも期せずして国語、しかもあまり語られることの少ない俳句や短歌、古典文学の授業や取り組みです。子どもたちや生徒の学びや思いが見えてきます。同様に阿部真弓さんの「子育て、孫育て奮闘記」からもコロナ禍で教育活動が制限されるなかでも、学校生活を楽しむ遊ちゃん、葉ちゃんの姿が見えてきます。
「相談センター報告」の金谷さんは、103号の増山さんの記事に共感しながら制定からちょうど70年となる児童憲章に触れています。「児童は人として尊ばれる」「児童は社会の一員として重んぜられる」「児童はよい環境の中で育てられる」との理念からは、戦後、平和で民主的な社会の形成者として子どもを育てていこうという制定当時の大人たちの思いと気概を感じます。出浦由美子さんは、そんな制定当時の学校生活の一コマと忘れられない先生について「私の出会った先生」を寄せてくれています。
ところで戦後初期の学校や教師、子どもたちの自由で開放的な世界はどこに行ってしまったのでしょう。教師は長時間・超過密労働のなかで喘いでいます。しかも教師たちには残業手当がつかず、まさに「定額働かせ放題」の状況です。そのような不条理な現状に風穴を開けようと立ち上がったのが「埼玉超勤訴訟」です。その訴訟の意義と課題について、山岸さんが解説してくれています。
最後に、一息つける年末年始のお休みに、おすすめ映画の『私は、ダニエル・ブレイク』、読書のすすめの『デジタル・ファシズム』を見たり、読んだりしてみてはいかがでしょうか。どちらからも今の社会が抱える問題と課題が見えてきます。
目次
タ イ ト ル | 著 者 | P. | |
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子どもの風景(第4回) | 1 | ||
座談会 「GIGAスクール 学校現場の今と課題」 | 伊藤慶 掛川恵一 佐藤正彦 森峻平 渡邉浩一 | 2 | |
GIGAスクール構想の学校での現状をお聞きして | 久保 健 | 12 | |
読者の声(はがき・メールより) | 12 | ||
授業への招待④ | |||
五七五の世界が紡ぐ世界 | 小野寺 浩之 | 14 | |
教育時評 | |||
埼玉超勤訴訟の成果と課題 | 山岸 利次 | 16 | |
子育て、孫育て奮闘記③ | 阿部 真弓 | 18 | |
おすすめ映画 | |||
『私は、ダニエル・ブレイク』 | 佐々木 忠夫 | 19 | |
読書のすすめ(第6回) | 久保 健 | 19 | |
子どもと学校 | |||
清少納言も悩んでいたのかもしれない | 石垣 耕希 | 20 | |
私の出会った先生 34 | |||
ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために | 出浦 由美子 | 22 | |
相談センター報告(第25回) | |||
大人があなたたちの幸せを守る | 金谷 光子 | 23 | |
ひと言 | |||
何のために学ぶのか? | 高橋 満 | 24 | |
子どもの風景・作品について | 千葉 早苗 | 24 | |
センターの動き・編集後記 | 24 |